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木は永遠のパートナー

TEL. 0744-42-3535

〒633-0062 奈良県桜井市粟殿350番地 FAX.0744-43-2552

木材の樹種TREE SPECIES

針葉樹

イチョウ

高さ30〜40m、直径1m以上最大5mにもなるイチョウ科の落葉大高木。原産地は中国だが、古くから日本に入り各地に植えられている。木材は辺材と心材の区別が不明な淡黄色を示す。気乾比重約0.55。早材(春目)と晩材(秋目)の差が少なく、全体均質で、加工性良く、狂いが少ない。用途は細工物、漆器木地、彫刻(印判、版木、木魚)、器具などで、中級の碁・将棋盤にもよく用いられる。

イチイ

高さ10〜15m、直径50cmほどになるイチイ科の常緑中高木で、北海道から九州までの温帯〜亜寒帯に分布する。オンコ(北海道)またはアララギとも呼ばれる。木材は辺材が淡黄白色、心材は紅褐色を示す。気乾比重約0.54。木目は緻密で、美しく、加工しやすい。細工物、彫刻などに賞用され、アイヌの熊の木彫りや岐阜県高山の一刀彫りなどが知られる。笏(しゃく)にも用いる。また淡色の辺材部をところどころ源平模様に残して床柱にする。

カヤ

高さ20〜25m、直径80cmほどになるイチイ科の常緑高木で、宮城県・山形県以西の本州、四国、九州の主として暖帯に分布する。木材は辺材と心材の色の違いが少なく、黄色〜帯褐黄色で、光沢と独特の臭いといくらかの脂気があり、緻密で美しい。気乾比重約0.51。早材と晩材の差が少なく、加工しやすい。耐朽性に富み、とくに水や湿気に対して腐りにくいので浴室用具に賞用される。しかし第一の特用は碁・将棋盤で、宮城県日向地方が産地として名高く、高級品は一面数十万円から数百万円する。ただし近年は良質の大径材が少なくなっている。そのほか彫刻にも用いる。
 ・高級将棋盤(カヤ)

カラマツ

高さ20〜30m、直径60〜100cmまたはそれ以上になるマツ科の落葉高木で、天然には福島県から長野県にかけての本州中部亜高山帯山地に分布するが、量はわずかである。スギやヒノキよりも寒さに耐え、生長も比較的早いので、戦後北海道をはじめ東北、中部などの寒冷地に広く造林され、早いものが伐期に達しつつある。木材は木目がやや粗く、辺材は淡黄白色、心材は淡褐色〜褐色で、早材と晩材の差が明瞭である。気乾比重約0.53。針葉樹としては比重が高く、強度もあるが、若い造林木は乾燥に際し狂いやすく、また節などの欠点が多いのが問題である。建築土台、土木、包装用材などが主な用途であるが、最近は家具や壁面材としての利用も行われている。天然性のカラマツいわゆるテンカラは材質優れ、銘木として建築などに用いられる。ソ連から大量に輸入されている近縁種のグイマツはカラマツにくらべ心材が黄色味を帯びる。

エゾマツ

高さ30m、直径80cmになるマツ科の常緑高木で、北海道、南千島、樺太、朝鮮、中国、シベリアの亜寒帯に広く分布する。トドマツとともに北海道の主要針葉樹である。木材は辺材と心材の違いがなく、全体が一様な淡黄白色を示す。マツやカラマツと同じく樹脂道があるので、やに筋や時にやにつぼが現れる。気乾比重約0.43。軽軟で加工しやすいが、耐朽性は乏しい。用途は建築(板、建具、造作など)、器具、包装用、パルプなど広い。特用としてはピアノの響盤、ヴァイオリンの表甲板があげられる。エゾマツはソ連材としても輸入されている。北海道のアカエゾマツは近縁種であるが、量は少ない。また北米のスプルースもこの仲間である。

アカマツ

高さ30〜35m、直径1mまたはそれ以上になるマツ科の常緑高木で、本州、四国、九州、朝鮮の温帯から暖帯に分布する。針状の葉が2本ずつ束生するいわゆる二葉松(にようしょう)のグループに入る。木材は木目やや粗く、辺材は淡黄白色、心材は淡褐色〜赤褐色で、しばしば辺材幅が広い。気乾比重約0.53。用途は一般には建築の梁や土台、土木用、枕木、家具(仏壇)、楽器(太鼓)、木箱、パルプなどで、樹脂分の多い、濃色のものは肥松(こえまつ)といって建築の腰板、床板などに銘木として賞用される。また盆、鉢、その他細工物にもよく用いられる。内陸部に生息するアカマツに対し海岸沿いにはクロマツがあり、木材はアカマツと同様である。
 ・器(アカマツ)

ヒメコマツ

北海道内部から九州までの主として温帯に分布するマツ科の常緑高木で、高さ20〜30m、直径50〜100cmになる。五葉松(ごようしょう)に属し、針状葉が5本ずつ束生する。木材は辺材が淡黄白色、心材は淡黄紅色〜淡紅色を示す。気乾比重約0.41。アカマツなどの二葉松にくらべ木目が細かく、軽軟で、狂いが少なく、加工性が良い。用途は建築の造作、建具、天井板、家具、仏壇、彫刻、漆器木地、ピアノ鍵盤など。特用としては鋳物の木型に用いられる。

スギ

一般に高さ30〜40m、直径1〜1.5mになり、大きいものでは高さ65m、直径6.5mにも達するスギ科の常緑高木で、本州、四国、九州(〜屋久島)の温帯〜暖帯に分布し、またわが国の最主要造林として各地に植えられている。屋久島には樹齢1,000年以上2,000年を越えるものがあり、屋久杉の名で知られる。木材は辺材が淡黄白色、心材は淡紅色〜暗赤褐色で、特有の芳香がある。気乾比重約0.38。針葉樹の中でも軽軟な方で、加工しやすく、建築(柱、貫、板類、建具)家具、器具(樽、下駄、箸)、箱など広い用途に古くから用いられてきた。とくに秋田杉や屋久杉などの天然杉は天井板、腰板、床板(とこいた)などの建築各部、そのほか机、細工物などに銘木として賞用される。特用的なものをあげると京都北山杉の磨丸太、吉野杉の酒樽、宮崎県飫肥(おび)杉の船舶用弁甲材がある。

ヒノキ

天然には福島県東南部以西の本州、四国、九州の温帯〜暖帯に分布するヒノキ科の常緑高木で、高さ30〜40m、直径50〜150cmになる。スギと並ぶわが国の主要な造林樹種で、各地に植えられている。木材は辺材が淡黄白色、心材は淡黄褐色〜淡紅色で、木目が細かく、芳香と光沢があり、美しい。気乾比重約0.44。材質が均質で加工しやすく、強度・耐朽性も大で、あらゆる点で世界でも最も優れた針葉樹材のひとつといえる。とくに天然木は銘木として高級建築、社寺、劇場などに賞用され、木曽のヒノキが名高い。建築(柱、縁甲板、板類)のほか、彫刻、家具、器具、浴槽など用途はきわめて広い。南木曽地方のひのき笠は材の薄片を編んで作られたものである。
広葉樹

オニグルミ

クルミ科の落葉高木で、高さ20m、直径70cmほどになり、北海道〜九州の温帯〜暖帯に広く分布する。一般には単にクルミと呼ばれるのがふつうで、実が食べられる。木材は散孔材で、辺材は灰白色、心材は独特のくすんだ淡褐色〜黄褐色を示し、淡桃色〜淡紫色を帯びることがある。気乾比重は約0.51。重さ、硬さが中庸で、狂いが少なく、ねばりがあるので、家具、運動具、器具、建築造作材など広い用途があるが、とくに銃床(じゅうしょう)用材として賞用される。しかし大径木は少なくなっている。北米にある近縁種のブラックウォールナットは家具などの装飾用材として有名である。

サワグルミ

高さ20〜30m、直径70cmほどになるクルミ科の落葉高木で、北海道南部から九州までの温帯に分布し、沢沿いによく見られる。オニグルミと異なり実は食べられない。木材は散孔材で、辺材と心材の違いがなく全体が一様な淡黄白色を示す。気乾比重約0.43。軽軟で、加工容易だが、強度がなく、耐朽性も乏しい。キリの代用としての下駄のほかマッチ軸木、経木、杓子などに利用され、特用としては陸上競技のバトンがある。

カバ

ウダイカンバ(マカンバ)、ミズノ、ダケカンバ、シラカンバなどカバノキ科カバノキ属の樹木の総称。いずれも落葉高木で、ウダイカンバ(北海道〜本州中部の温帯)とミズメ(本州〜九州の温帯〜暖帯)が樹形、材質とも優れ、高さ20〜30m、直径50〜100cmになる。それにたいしダケカンバおよびシラカンバ(ともに北海道、本州北中部、朝鮮〜シベリアなどの温帯〜亜寒帯)は高さ10〜15m、直径30〜50cm程度までがふつうで、材質もやや劣るので、しばしば“雑カバ”と呼ばれる。木材は散孔材で、木目細かく、辺材は淡黄白色、心材は淡紅褐色〜紅褐色を示す(シラカンバではほとんど着色心材のないことが多い)。気乾比重は0.69(ウダイカンバ、ミズメ、ダケカンバ)、0.60(シラカンバ)。カバはわが国の代表的な散孔材のひとつで、美しく、強度もあるので、建築造作材、フローリング、家具、器具などに多用される。家具ではつき板にして洋家具の表面装飾用としたり、無垢のまま民芸調の家具(例:松本民芸家具)に用いる。カバは慣習的にカバザクラ(ミズメの場合はミズメザクラともいう)あるいは単にサクラと称されることが多いが、もちろん本当のサクラとは異なる。上記の樹種のほかにオノオレカンバ(本州北中部温帯)もカバノキ属の樹種で、これは名前が示すようにきわめて重厚で(気乾比重0.94)、算盤の枠、木琴の鍵盤などの特用がある。
 ・木琴鍵盤(オノオレカンバ)

シデ

カバノキ科シデ類の樹種の総称で、アカシデ、イヌシデ、サワシバ、クマシデなどを含み、樹種により多少分布に違いがあるがほぼ本州〜九州の温帯〜暖帯に広く分布する。どの種類もやや木が小さく、高さが10〜15m、直径30〜40cm程度までがふつうなので用材としての大きな用途は少ないが、材がねばり強く、ピアノのアクション部分や器具の柄、挽物玩具などに用いられる。散孔材で、辺材と心材の違いはなく灰白色を示し、気乾比重約0.70。

アサダ

高さ20(〜25)m、直径70cmほどになるカバノキ科の落葉高木で、北海道〜九州、朝鮮、中国の温帯〜暖帯に分布する。木材は散孔材で、木目細かく、辺材は淡桃灰色、心材は帯赤褐色を示す。気乾比重約0.7。強靭で割れにくく、工具の柄、木槌、靴の木型などに適し、また家具にも用いられる。建築造作材ともされ、フローリングにも賞用されるが、一般にはあまり多くなく、しばしば“サクラ材”として扱われる。

クリ

ブナ科の落葉高木で、北海道南部から九州にいたる温帯〜暖帯に分布する。ふつうは高さ15〜20m、直径50cm程度であるが、大きいものでは高さ30m、直径1m以上に達することがある。木材は環孔材で、木目は粗く、辺材は淡黄白色〜淡灰黄色、心材はくすんだ淡黄褐色〜黄褐色を示す。ナラに似るが、広放射組織がないので、ナラの柾目面に見られるような班は現れない。気乾比重約0.55。耐朽性の高いことで知られ、昔から建築の土台に、まだ近年では枕木に多用されてきた。最近は家具にも用いられる。細工物では碁笥(ごけ)など。

シイ

高さ20〜25m、直径70〜100cmになるブナ科の常緑高木で、関東以西の本州、四国、九州の暖帯に分布する。コジイとスダジイ(イタジイ)の2変種に分けられ、コジイは内陸に、一方スダジイは沿海部に比較的多く見られる。木材は散孔材〜半環孔材で、辺材は帯黄灰白色、心材はくすんだ淡黄褐色〜黄褐色を示す。気乾比重は0.52(コジイ)、0.61(スダジイ)で、スダジイの方が強度が高い。器具、建築造作、フローリング、家具などに用いられるが、腐りやすいことと乾燥時に狂いが出ることなどから十分な利用がなされていない。

ブナ

高さ20〜25m、直径1mまたはそれ以上になるブナ科の落葉高木で、北海道南部(渡島半島)から九州までの温帯に分布し、とくに東北地方に蓄積が多い。木材は散孔材で、辺材と心材の違いがなく、淡桃灰色〜帯桃黄白色を示すが、しばしば病的な刺激でできる褐色〜紅褐色の偽心(ぎしん)をもつ。気乾比重約0.63。乾燥時に狂いが出やすいのと腐朽がはやいのが欠点とされてきたが、乾燥技術が進み問題がなくなった。古くから漆器木地、杓子、その他の器具に用いられ、今日では家具、フローリングなどの主要材のひとつである。ねばり強く、とくに椅子など曲げ木には最適で、また運動具にも用いられる。
 ・家具(ブナ)

カシ

カシはブナ科カシ類(アカガシ属)の総称で、わが国には11種類あるが、木材の利用上重要なのはアカガシ、シラカシ、イチイガシなどである。いずれも常緑高木で、高さ15〜20(〜25)m、直径50〜60(〜100)cmに達し、ほぼ関東以西の暖帯に分布する。木材は放射孔材で、道管が半径方向に並ぶのが特徴である。一般に重硬で、材の色と気乾比重は樹種によってやや異なり、アカガシは心材淡紅褐色〜紅褐色、比重0.92。シラカシは心材帯黄灰褐色、比重0.90。イチイガシは心材赤褐色、比重0.79である。強度が大きく、昔から建築(敷居など)、器具(農器具、土木用具、大工道具、荷棒、槌頭)に賞用されてきた。そのほか木刀、体操用具やゲートボールのスティックなど今日でも用途は広い。細工物では重硬さを生かしてペンダントや洋食器の柄などにも用いられる。
 ・大工道具(カシ)

ナラ(ミズナラ)

ブナ科の落葉高木で、高さ20〜25(〜30)m、直径1〜2mになり、北海道〜九州、朝鮮、中国東北部の温帯に分布する。わが国の代表的な環孔材のひとつで、辺材は淡黄白色、心材はくすんだ黄褐色を示す。気乾比重約0.67。建築(とくに洋風)の造作材(窓、階段など)、フローリング、家具、器具、運動具などきわめて広い用途がある。最近はアートクラフトにも用いられている。かつては家具用インチ板、コフィンボードとしてヨーロッパへの輸出が盛んであったが、最近は優良材の減少と円高などで輸出が減っている。近縁種にコナラ(北海道南部〜九州、朝鮮の温帯〜暖帯)があり、やや比重が高い(0.80)ので用材としてはミズナラほど用いられないが、やはりナラ材として扱われることもある。北米のホワイトオークはウィスキーの樽としての特用がある。

ニレ

わが国には3種類のニレ(ニレ科ニレ属)があるが、木材の利用上からニレと呼ぶのはハルニレとオヒョウニレで、他の1種アルニレは一般に木が小さく、最も少ない。ハルニレ、オヒョウニレはともに北海道〜九州、朝鮮、中国〜シベリア東部の温帯〜亜寒帯に分布する。ハルニレは高さ20〜25m、直径60〜100cmになり、オヒョウニレはそれよりやや小さい。木材は環孔材で、辺材は帯褐灰白色、心材はくすんだ帯紫褐色を示す。気乾比重約0.59。やや狂いやすいことと、材色があまりさえないのでかつては用途が狭かったが、材価が比較的安いこともあり、最近では家具、細工物などにかなり用いられるようになった。

ケヤキ

ニレ科の落葉高木で、通常は高さ20〜25m、直径70〜100cmほどであるが、大木では高さ40〜50m、直径3mに達するものがある。本州〜九州、台湾、朝鮮、中国の温帯〜暖帯に広く分布する。木材は環孔材で、辺材は淡黄褐色、心材は黄褐色〜帯黄紅褐色を示す。気乾比重約0.62。重さ、硬さ中庸で、強度があり、加工性に優れ、材面が美しく、かつ大径材が得られるので、古くから建築(とくに社寺建築)に賞用され、また家具、彫刻、楽器(とくに太鼓)、漆器木地(輪島漆器、その他)、種々の細工物など広範な用途があり、わが国の最上の紅葉樹林のひとつである。如鱗杢など美麗な杢のあるものは銘木として高価で取り引きされる。しかし最近は大径の良木が少なくなっている。
 ・ 太鼓(ケヤキ)

クワ(ヤマグワ)

高さ10〜15m、直径30〜40cm程度になるクワ科の落葉中高木で、北海道〜九州、朝鮮、中国、樺太の温帯〜暖帯に分布する。木材は環孔材で、木目は粗く、辺材は淡黄白色、心材ははじめ暗黄褐色で金色の光沢があり、後に黒ずんで濃暗褐色となる。気乾比重約0.60。家具、器具、細工物など用途広く、とくに家具では和風の鏡台、細工物では碁笥(ごけ)に賞用される。しかし、最近は径の大きい良木はきわめて少なくなっている。

カツラ

北海道から九州までの温帯に分布するカツラ科の落葉高木で、高さ20〜25m、直径60〜100cmまたはそれ以上になり、沢沿いに多く見られる。木材は散孔材で、木目が細かく、辺材は淡黄白色、心材は褐色を示す。気乾比重約0.49。軽軟で加工しやすく、狂いが少ないため、家具、建築造作材、製図版、まな板、彫刻、器具類など用途が広い。中級の碁・将棋盤にも用いられる。心材は濃色のものをヒガツラ、比較的淡色のものをアオガツラといい、一般に前者が好まれる。

ホオノキ

高さ20m、直径50cmほどにもなるモクレン科の落葉中高木で、北海道〜九州、中国の温帯〜暖帯に広く分布する。木材は散孔材で、辺材は灰白色、心材は特徴的なくすんだ灰緑色を示し、しだいに暗緑色に変わる。気乾比重約0.48。軽軟で加工しやすく、狂わないので、器具、建具、彫刻、寄木細工、漆器木地、製図板、定規、版木、下駄の歯、刃物の鞘・柄などに賞用される。

クスノキ

クスノキ科の落葉高木で、高さ20〜25m、直径70〜80cm程度のものがふつうであるが、大きいものでは高さ50m、直径7mという巨大なものもある。茨城県以西の本州〜九州〜台湾〜インドシナの暖帯〜亜寒帯に分布し、またかつては樟脳採取のために各地で植えられた。木材は散孔材で、特有の芳香があり、辺材は灰白色〜淡黄褐色、心材は黄褐色〜紅褐色を示す。用途としては建築造作、和洋家具、彫刻(例:井波の欄間、置物)などがあり、特殊なものとしては木魚があげられる。美しい杢の出ることがあり、床(とこ)廻り用材に賞用される。
 ・井波の欄間(クスノキ)

タブノキ

高さ20(〜25)m、直径60〜100cmになるクスノキ科の常緑高木で、本州〜九州〜台湾、朝鮮、中国の暖帯〜亜熱帯に分布し、とくに沿海地に多い。木材は散孔材で、辺材は帯褐灰白色、心材は紅褐色を示す。クスノキと異なり芳香はない。気乾比重約0.65。全体にあまり多くはないが、九州に比較的蓄積があり、器具、建築造作などのほか最近では洋家具、フローリングなどにも用いられている。

イスノキ

マンサク科の常緑高木で、高さ15〜20m、直径60〜80cmになり、伊豆半島以西の本州〜九州〜台湾、中国の暖帯に分布する。木材は重硬な散孔材で、木目細かく、辺材は帯紅淡黄褐色、心材は帯紅褐色〜紫褐色を示す。気乾比重約0.90。わが国の重硬材のひとつで、特用をあげると建築ではフローリング、細工物では算盤の玉および枠、そのほか木刀などに賞用される。
 ・算盤(イスノキ)

サクラ

バラ科サクラ属の樹木の総称。木材の利用上主要なものにはヤマザクラ、ウワミズザクラ、シウリザクラその他があり、わが国の温帯〜暖帯に広く分布する。木材界では慣習的にカバのことをサクラと称する場合が多く、本当のサクラとは“本ザクラ”といって区別する。大きくなるものでは高さ20〜25m、直径60〜100cmまたはそれ以上になり、多くは落葉樹だが、リンボクなど常緑のものもある。木材は散孔材で、辺材は淡黄褐色、心材は褐色で、しばしば暗緑色の縞をもつのが特色である。気乾比重0.62〜0.75。用途は器具、建築造作、家具、フローリングなどだが、まとまった蓄積はない。昔から版木としての特用がある。

イヌエンジュ(エンジュ)

高さ10〜15m、直径30(〜50)cmになるマメ科の落葉中高木で、北海道〜九州、台湾、朝鮮、中国の温帯〜暖帯に分布する。木材界では通常“エンジュ”で通っているが、本当のエンジュは中国原産の別属のものである。木材は環孔材で辺材は黄白色、心材は暗褐色を示し、しだいに濃暗褐色になる。気乾比重約0.63。彫刻や細工物のほかとくに床柱に賞用される。
 ・床柱(イヌエンジュ)

ニセアカシア

マメ科の落葉高木で、通常は高さ10〜15m、直径30〜40cmであるが、まれには高さ25m、直径80cmにもなるものもある。北米原産で、日本には明治初期に導入され、荒れ地にもよく育つので砂防用などとして各地に植えられている。木材は環孔材で、辺材は淡気白色〜淡黄色、心材は暗黄色〜黄褐色を示す。気乾比重約0.72。今のところ定まった用途はないが、材質は強靭で曲げ木にも使えるので、今後椅子などの家具やその他細工物などの用途の開発が期待される。

キハダ

高さ20(〜25)m、直径60(〜100)cmになるミカン科の落葉高木で、北海道〜九州、朝鮮〜中国、樺太の温帯に分布する。木材は環孔材で、辺材は淡灰黄色〜淡黄色、心材は金褐色で光沢が強く、しだいに濃色を帯びて濃暗褐色になる。気乾比重約0.45。狂いやすい欠点があり、軽軟で強度も小さいのであまり重用されないが、美しい杢の出るものは和家具(箪笥板前、鏡台、針箱、火鉢)や建築の装飾用材に賞用される。濃褐色の色がクワに似るので、その模擬材ともされる。樹皮は健胃剤。

サンショウ

高さ3〜5(〜8)m、直径5(〜10)cmほどのミカン科の落葉高木で、北海道〜九州、中国の温帯〜暖帯に分布する。木材は散孔材で、辺材と心材の区別は明らかでなく淡黄色〜黄色を示し、ときにやや紅色を帯びる。木目は細かく、気乾比重約0.78。すりこぎに特用されるほか、施作として湯呑、さかずき、茶托などにする。

ツゲ

ツゲ科の常緑高木で、通常は高さ1〜5m、直径5〜10cmであるが、まれに高さ10m、根元直径40cmほどににあることがある。関東以西の本州〜九州の温帯〜暖帯に分布し、伊豆七島の御蔵島や鹿児島県が産地としてよく知られる。木材は散孔材で、道菅径がひじょうに小さく(約0.03mm)、そのため材質がきわめて緻密である。辺材と心材の区別は少なく、黄白色〜黄色〜黄褐色を示し、気乾比重約0.80。高級な櫛、将棋の駒、印判、算盤玉など種々の細工物に用いられる。なお、タイ国産の“シャムツゲ”はアカネ科の樹木で、ツゲとは植物学的にも関係なく、材質もかなり劣っている。
 ・高級櫛(ツゲ)

モチノキ

モチノキ科の落葉小〜中高木で、通常は高さ10(〜15)m、直径20〜30cmほどで、本州〜九州、沖縄、中国の暖帯に分布し、沿海地によく見られる。木材は散孔材で、辺材と心材の違いがなく、灰白色〜やや青味を帯びた白色を示す。気乾比重約0.70。一般に木が小さいので、小器具類が主な用途である。材が白く、木目が細かいので寄木・象嵌細工の白色材、挽き物玩具に用いられる。同属のアオハダ(北海道南部〜九州、朝鮮、中国の温帯〜暖帯)も同じ用途がある。

マユミ

ニシキギ科の落葉低木で、高さ5(〜10)m、直径15(〜30)cmになり、北海道〜九州、朝鮮、中国、樺太の温帯〜暖帯に分布する。木材は散孔材で、全体が一様な淡黄白色を示し、木目が細かく美しい。気乾比重約0.67。用途は寄木・象嵌細工、将棋駒など。同属のツリバナ、ヒロハツリバナの材も同様に用いられる。

イタヤカエデ

高さ20〜25m、直径60〜120cmになるカエデ科の落葉高木で、北海道から九州までの温帯に分布する。木材は散孔材で、木目が細かく、辺材と心材の区別が不明な帯桃灰色〜淡桃褐色を示し、絹糸様の光沢があって美しい。気乾比重約0.67。ねばり強く、フローリング、運動具(ラケット枠、スキー板など)、楽器(ピアノアクション、ヴァイオリン裏板)のほか家具、器具などに用いられる。鳥の目に似た杢(鳥眼杢)のある材は銘木として賞用される。イタヤカエデはオニイタヤ、アカイタヤ、エゾイタヤなど数変種に分けられ、材質もいくらか異なっている。日本には他に20種類のカエデ類があるが、材質が比較的よく利用されるのはウリハダカエデ(こけし、将棋駒)、オオモミジ(床柱、上り框、彫刻)などである。材がイタヤカエデに似る北米のサトウカエデは特用としてボーリングゲームのピンおよび床に用いられ、家具材としても輸入されている。
 ・ピアノアクション(イタヤカエデ)

トチノキ

高さ20〜25m、直径1m以上になるトチノキ科の落葉高木で、北海道南部〜九州の温帯に分布する。木材は散孔材で、一般には辺材と心材の違いがなく、黄白色〜淡黄褐色を示す。気乾比重約0.52。軽軟で工作容易だが、やや狂いが出やすいのと腐れのはやいのが欠点である。しかし大径材が得られるので、建築造作、家具、彫刻、漆器木地など広い用途がある。材の組織上の特徴として板目面にリップルマークと呼ばれる微細なさざ波模様が見られる。また美麗な縮み杢が現れることがあり、家具や盆、鉢、指物工芸品に賞用される。

シナノキ

高さ20〜25m、直径60〜100cmになるシナノキ科の落葉高木で、北海道〜九州、中国の温帯に分布する。もう1種オオバボダイジュが北海道〜本州北中部の温帯にあり、木材はやはりシナノキとして扱われる。木材は散孔材で、辺材は灰白色〜淡黄白色、心材は淡黄褐色を示す。強度、耐朽性は低く、色調がさえず見た目もあまり良くない。しかし主として北海道に比較的蓄積が多く、合板、建築造作などに多く用いられ、また木彫り(北海道の熊の木彫り)、マッチ軸木、割り箸などの用途がある。材色からアカシナ、アオシナを分けることがあり、樹種からすればシナノキがアカシナ、オオバボダイジュがアオシナであるという。
 ・木彫りの熊(シナノキ)

ツバキ(ヤブツバキ)

ツバキ科の常緑小〜中高小で、高さ10(〜15)m、直径20〜30(〜40)cmになり、本州〜九州、朝鮮、中国の温帯に分布する。木材は散孔材で、辺材と心材の区別は明らかでなく、淡紅褐色を示す。木目細かく、堅硬で、気乾比重約0.85。切削・加工は困難であるが、施作には適し、磨くと光沢が出て美しい。大きな木ではないので、用途は主に細工物、器具で、櫛、将棋駒、玩具、版木、丸物漆器木地、傘の柄、器具の柄、ブラシ背板、ガラス木型などである。

コシアブラ

ウコギ科の落葉中高木で、高さ10〜15m、直径30〜40cmになり、北海道、本州、四国、九州の温帯〜暖帯山地に広く分布する。木材は散孔材に近い環孔材で、道管径が小さく、木目が細かい。木理は通直で、木質が素直である。辺材は灰白色〜淡黄白色、心材はやや青味を帯びた淡黄褐色〜淡褐色を示し、全体として淡色で、光沢があって美しい。気乾比重約0.42。軽軟で加工しやすく、その割にはねばりがあって折れたり、欠けたりしない。特用としては光沢の「笹野一刀彫り」があげられる。鶏など薄く削り掛けに彫り、白木と彩色の美しさを見せる「笹野一刀彫り」には最適の材である。しかし木があまり大きくないので、家具や建築用材には使われない。
 ・笹野一刀彫り(コシアブラ)

ハリギリ(セン)

ウコギ科の落葉高木で、高さ20〜25m、直径1〜1.5mになり、日本全土から朝鮮、中国、東シベリア、樺太にかけての亜寒帯〜暖帯に分布する。北海道に比較的多い。木材は環孔材で、肌目は粗く、辺材は淡黄白色、心材は淡灰黄色〜淡灰褐色を示す。気乾比重約0.50。軽軟で、加工しやすく、家具、建築造作材、建築内壁、彫刻、漆器木地、キリ下駄代用材などに用いる。また木目がケヤキに似るので塗装してその模擬材とする。材質からオニセン(硬く、狂いやすい)とヌカセン(軽軟で、加工容易)が区別されることがある。

ミズキ

高さ10〜15m、直径30〜40cmになるミズキ科の落葉中高木で、北海道〜九州、朝鮮、中国、台湾、インドシナ、ヒマラヤにわたるきわめて広い範囲の亜寒帯、温帯、暖帯に分布する。木材は散孔材で、木目細かく、辺材と心材の区別がない一様な淡黄白色を示す。気乾比重約0.63。大径材はないが、材が白色で清潔感があり、細工しやすいので、挽き物、細工物木地として各地で使用される。具体的な用途としては挽き物玩具、杓子、漆器木地、寄木・象嵌細工、箸などがあり、宮城県鳴子のこけし木地としてもよく知られる。
 ・鳴子のこけし(ミズキ)

カキ

カキ科の落葉中高木で、高さ10〜15m、直径30〜40cmになり、本州〜九州、中国の温帯〜暖帯に分布する。わが国には他にシナノガキ(関東以西の本州〜九州、台湾、中国)、マメガキ(中国〜小アジア、古くから日本で栽培)などがあり、木材はいずれもカキとして扱われる。散孔材で、辺材は灰白色〜淡灰褐色を示す。心材は灰褐色〜淡褐色で、しばしばうす墨色に黒ずむ。また明瞭な黒色の縞をもつことがあり、これはクロガキといって装飾用材として珍重される。(熱帯地域のカキの仲間には黒色の心材をもつものがあり、これがコクタン(黒檀)である。)気乾比重約0.65。用途は器具、建築造作、家具などであるがあまり一般的ではない。ゴルフクラブのヘッド用材として知られる北米のバーシモンも同じくカキの仲間で、日本のカキもその代用に用いられる。

エゴノキ

エゴノキ科の落葉中高木で、高さ10〜15m、直径20〜30cmになり、北海道南部〜九州、朝鮮、中国の温帯〜暖帯に広く分布する。木材は散孔材で、辺材と心材の区別がなく、淡黄白色〜淡黄褐色を示す。気乾比重約0.65。材質はねばり強く、かつては傘の柄などに多用された。木が小さいので、主な用途は木地玩具など小木工品である。近縁種にハクウンボク(分布域もエゴノキとほぼ同じ)があり、材質は同様で、山形県天童で将棋の駒に用いられる。
 ・天童の将棋駒(エゴノキ)

ヤチダモ

高さ20〜25m、直径70〜100cmまたはそれ以上になるモクセイ科の落葉高木で、北海道〜本州北中部、朝鮮、中国東北部、東シベリア、樺太の亜寒帯〜温帯に分布する。木材は環孔材で、辺材は淡黄白色、心材はくすんだ黄褐色を示す。気乾比重約0.57。重さ、硬さ中庸で、加工性が良く、また落ち着いた美しさがあるので、建築造作材、内壁装飾材、家具などに広い用途がある。また比重の割にねばり強く、運動具(バッド、ラケット)、器具にも用いられる。

シオジ

高さ20〜25m、直径60〜100cmになるモクセイ科の落葉高木で、本州の関東以西、四国、九州の温帯に分布する。木材は環孔材で、ヤチダモに似るがそれよりやや色が明るく、またやや軽軟である。気乾比重約0.55。用途もほぼヤチダモと同じである。

アオダモ

高さ10〜15m、直径20〜30cmになるモクセイ科の落葉中高木で、北海道〜九州の温帯に分布する。木材は環孔材で、辺材は淡灰白色、心材は淡黄褐色〜灰褐色を示すが、一般に着色心材が形成されることは少ない。気乾比重約0.71。強靭で折れにくく、運動用具材とされ、とくに野球のバットの最適材である。そのほかラケットの枠や最近ではげーとボールのスティック、ゴルフクラブのヘッドにも用いられる。

キリ

日本各地で栽培されているノウゼンカズラ科の落葉中高木で、高さ10〜15m、直径30〜50mになる。木材は散孔材〜半還孔材で、辺材と心材の区別が明らかでなく、くすんだ灰白色を示し、しだいに灰褐色〜淡褐色に変わる。日本の木材では最も軽軟で、気乾比重約0.30。用途としては箪笥がよく知られるが、そのほか一般の家具でも引出しや内張り材として多用される。また彫刻(置物、能仮面)、楽器(琴)、箱、下駄、火鉢、桐紙など様々な用途がある。会津桐や岩手県の南部桐が材質の良いことで知られる。ただし、今日わが国で用いられているキリ材の大部分は中国、台湾、北米、南米などからの輸入材で、とくに北米のキリ(元来は日本のキリ)は大径のものがあり、年輪幅密で、会津桐に匹敵するという。

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